前半戦を戦い抜いた投手たち―初勝利、エースの熱投、そして後半戦への課題 2026JDリーグ第10節投手総括 女子ソフトボール
小泉杏奈、後藤明日香が待望の初勝利。
庄司奈々の連投、外国人投手の存在感、
そして「離脱しない強さ」に注目する。

前半戦最終節にして初勝利
苦しみ続けた投手たちが掴んだ待望の白星
松山ラウンドではデンソーvsSHIONOGI戦が行われた。デンソーはここまでまだ勝ち星がない小泉杏奈を先発に起用。初回の立ち上がりこそバタつき、1点を先制されるも、その後はランナーを出しながらも3塁を踏ませない投球で4回を投げ、見事勝利投手となった。
宇都宮大会では戸田中央vs東海理化戦で今年からJD復帰となった後藤明日香(戸田中央)が2回から登板。初回に増田侑希が3失点を喫し、劣勢の場面でマウンドに送られることになったが見事試合を立て直し、4回を投げ2安打無失点で今季初勝利となった。

最終節、エースのフル登板
「明日はない」覚悟が生んだ魂の熱投
来週からのことを考えなくていい最終節。どこのチームもプレイオフ進出を懸けて1試合も落とせない状況が続く中、エースを2試合とも先発させるチームも少なくなかった。
目玉はなんといっても伊予銀行・庄司奈々の熱投だ。土曜日対太陽誘電戦で7回3失点もチームはサヨナラ勝利。132球を投げ我慢の展開が続くタフな試合となる。
続く日曜日、デンソー戦でもまさかの先発登板。この日も試合は0-0の展開、投手戦となった。昨日の疲れを感じさせない内容でこの日もチームは7回裏にサヨナラ勝利を収める。投球内容は7回3安打2四球無失点、球数は109球と、連投とは思えない好投だった。

トップ10は外国人投手がずらり
防御率ランキングが示す投手力の現在地
前半戦を終了し防御率を見てみると、トップ10にランクインしているのは防御率2点台前半、10人中8人が外国人であることがわかる。
今年好調な豊田自動織機はレクシー・キルフォイルと山下千世の2人が防御率2点台前半でチームの勝利に大きく貢献していることがわかる。
規定回数内に同チームから2人が選出され、なおもその2人が2点台前半の防御率を守ることができれば、チームは相当助かるであろう。
後半戦は個人の結果もそうだがチーム防御率も注目していきたい。


『離脱』をしないことの重要性
シーズンを戦い抜くことも一つの実力
前半戦が終了し、ここまで各チーム22試合を戦い抜いてきた。それぞれ好不調はあって当然のことと思うが、大切なのは離脱せずに1年間戦えるか、投げ切れるかどうかだと感じる。
開幕前のカンファレンスで上野由岐子投手が言っていた、『とにかく怪我をせずに最後まで投げ抜きたい』。
もちろんJDリーグで戦える、勝てるレベルの投手になることはもちろん大前提に、怪我をしない、離脱をしないということが『良い選手、良い投手』なのではないかと思う。コンディションを含め、しっかりと調整をし戦い抜くということは容易なことではない。だが、首脳陣が『お前で行くぞ!』というタイミングでバッチリと準備ができていることがチームのために最も重要ではないだろうか。
後半戦では怪我を乗り越えた投手、万全ではなかった投手の復活を期待したい。

第10節終了時 投手成績
第10節終了時(規定投球回数44)
試合数:22試合
防御率 ベスト10
1位 Kathryn Sandercock(SGH) 0.96
2位 後藤希友(戸田中央) 0.98
3位 Alana Vawter(デンソー) 1.32
4位 Carley Hoover(ビックカメラ) 1.45
5位 Jailyn Ford(トヨタ) 1.58
6位 Georgina Corrick(日本精工) 1.62
7位 Ally Carda(ホンダ) 1.71
8位 Lexi Kilfoyl(豊田自動織機) 2.03
9位 Megan Faraimo(トヨタ) 2.15
10位 山下千世(豊田自動織機) 2.27
勝利数 ベスト10
1位 Carley Hoover(ビックカメラ) 14勝
2位 Kathryn Sandercock(SGH) 10勝
3位 後藤希友(戸田中央) 8勝
3位 Alana Vawter(デンソー) 8勝
5位 Jailyn Ford(トヨタ) 7勝
5位 Georgina Corrick(日本精工) 7勝
5位 Lexi Kilfoyl(豊田自動織機) 7勝
5位 庄司奈々(伊予銀行) 7勝
9位 山下千世(豊田自動織機) 6勝
9位 三輪さくら(SHIONOGI) 6勝
9位 山本すみれ(NEC) 6勝
9位 長谷川鈴夏(日立) 6勝
奪三振 ベスト10
1位 Carley Hoover(ビックカメラ) 141
2位 Jailyn Ford(トヨタ) 89
3位 Kathryn Sandercock(SGH) 85
4位 Georgina Corrick(日本精工) 81
4位 Madison Penta(日本精工) 81
6位 後藤希友(戸田中央) 72
7位 Megan Faraimo(トヨタ) 65
8位 山本すみれ(NEC) 64
9位 山下千世(豊田自動織機) 55
10位 Alana Vawter(デンソー) 53
10位 Lexi Kilfoyl(豊田自動織機) 53
10位 長谷川鈴夏(日立)53
〇 第1節投手総括
(上野由岐子が示した開幕の格 揺らぐ絶対エースと“投手2枚時代”の幕開け)
〇第2節投手総括
(勝山美桜ノーノー達成と“若手台頭”の現在地)
〇第3節投手総括
(300奪三振・500奪三振が示す支配力 戸田中央無敗を支える“奪三振投手”の価値)
〇第4節投手総括
(JDリーグは“完投時代”の終わりへ 勝敗を左右するリリーフ陣の重要性)
〇第5節投手総括
(“任される覚悟”がチームを強くする―日本人投手たちの存在感)
〇第6節投手総括
(勝利を呼び込む投球とは何か ―第6節で改めて浮かび上がった投手の役割)
〇第7節投手総括
(勝利の裏にいる“3枚目”―優勝争いを左右する投手層の力)
〇第8節投手総括
(完封がチームを強くする―ベテランの存在感と“無失点”が生み出す勝利のリズム)
〇第9節投手総括
(交流戦が映し出した投手陣の現在地―下位チームの意地―)




