勝利の裏にいる“3枚目”―優勝争いを左右する投手層の力 2026JDリーグ第7節投手総括 女子ソフトボール

敗れはしたものの
戸田打線相手に堂々の完投
戸田中央は珍しくロースコアの試合となったが、しっかりと星を2つ増やした。
ここで注目したいのが、戸田打線相手にタカギの上村紗輝とトヨタの成瀬結衣が1人で最後まで投げ切ったことである。
上村紗輝はインコースがしっかりとコースに決まっていたことと、ストライクを取りたいところでアウトコースが決まっていたことが、結果1失点の好投に繋がった。
成瀬結衣はキレのあるストレートと決め球のライズ、チェンジアップなどボールを動かしながら狙い球を絞らせない投球が続いた。序盤に2点を失ったが、打者一人ひとりに丁寧に向き合いながら投げていた。
両チームとも勝利こそつかめなかったものの、継投が主流の時代に、戸田打線を相手に最後まで投げ切った姿は見事だった。

勝つために必要な
『3枚目』の存在
今節2勝したのはデンソー、戸田中央、SGHの3チーム。
デンソーは前節まで防御率1.24で東地区位のアラナ・バウターが日本精工戦で初回に3点を失い、まさかの降板。2回から代わった遠藤杏樺が6回をピシャリ。味方の援護もあり、なんとか2勝を挙げた。
土曜日の東海理化戦では飯島綾香が6回を投げ小泉杏奈に繋ぎ、完封リレー。デンソーはエースアラナの後ろに遠藤、飯島が安定していることが好調の要因だ。


4節終了時にも触れた豊田自動織機も、3枚目の存在である堀脇千晴の安定感がチームを大きく支えている。
今節珍しくビックカメラが2敗。ここにもチームを支える3枚目の投手が必要だ。
今年不調の日立も昨年のドンテイシャ・ゴーボーンや田内愛絵里の存在は大きかったか。
チームを構想していく中で、3枚目は若手であることが望ましい。勢い、挑戦者の気持ちそのままで前節の伊予銀行 曽我部由楽のような活躍をしてくれたら、チームの大きな力になることは間違いない。勝利以上の価値が、そこにある。
そしてその中で多くの失敗と経験を重ねながら、やがてチームを背負う存在へと成長していくのが理想的だ。
外国人の意地が光った今節
SGHのキャスリン・サンダーコックは土曜日にビックカメラ戦を2安打完封、続く日曜日も日立戦に先発登板すると5回で小川美沙希にマウンドを託す。しかし1死満塁の場面でリエントリーを余儀なくされる。そんな過酷な状況でも2失点に抑え、2つの勝ち星を挙げた。
豊田織機は日曜日、ビックカメラと対戦。序盤からビックのリズムで試合が進むも、織機サイドはレクシー・キルフォイルを続投。2失点に踏みとどまる粘投を続けたことが、最終回のサヨナラヒットに繋がった。
大垣ミナモは掛川ラウンドでSHIONOGIと対戦。先発は未だ勝ち星のないエヴァ・フォールトマン。6回に1点を失ったものの3安打8奪三振で完投勝利。待望の2勝目を挙げた。
日曜日、トヨタはホンダと対戦。前節勝ちがなかったメーガン・ファライモがここで意地のピッチング。立ち上がり、味方のエラーもあり先制をされるも、2回以降は毎イニング2奪三振、調子を戻してきた。最終回にも1点を返されたものの、ホンダ打線を相手に最後まで投げ抜き完投勝利を挙げた。

通算30勝目は
古巣へ恩返し
未だ調子が上がってこない日立。土曜日豊田織機との試合を任されたのは、坂本実桜ではなく長谷川鈴夏だった。日本体育大学を卒業し、豊田自動織機へ入団も1年で日立へ移籍することになった長谷川が、特別な思いを胸に記録がかかったマウンドに上がる。ピンチを背負い、6回には2点を献上し1点差まで詰め寄られるも、最後は長谷川の気持ちが上回った。MWPインタビューでは『ここまで成長できました』と古巣へ の感謝を口にした。

第7節終了時 投手成績
第7節終了時(規定投球回数32)
試合数:16試合
防御率 ベスト10
1位 Kathryn Sandercock(SGH) 0.64
2位 後藤希友(戸田中央) 1.32
3位 Alana Vawter(デンソー) 1.38
4位 Ally Carda(ホンダ) 1.41
5位 Jailyn Ford(トヨタ) 1.52
6位 Carley Hoover(ビックカメラ高崎) 1.57
7位 三輪さくら(SHIONOGI) 1.62
8位 Georgina Corrick(日本精工) 1.70
9位 Madison Penta(日本精工) 1.89
10位 Megan Faraimo(トヨタ) 2.12
勝利数 ベスト10
1位 Carley Hoover(ビックカメラ高崎) 9勝
2位 Kathryn Sandercock(SGH) 7勝
2位 Jailyn Ford(トヨタ) 7勝
4位 Alana Vawter(デンソー) 6勝
5位 後藤希友(戸田中央) 5勝
5位 三輪さくら(SHIONOGI) 5勝
5位 Georgina Corrick(日本精工) 5勝
8位 Ally Carda(ホンダ) 4勝
8位 Megan Faraimo(トヨタ) 4勝
8位 Lexi Kilfoyl(豊田自動織機) 4勝
8位 山下千世(豊田自動織機) 4勝
8位 山本すみれ(NEC) 4勝
8位 鹿野愛音(タカギ北九州) 4勝
8位 庄司奈々(伊予銀行) 4勝
8位 増田侑希(戸田中央) 4勝
8位 長谷川鈴夏(日立) 4勝
奪三振 ベスト10
1位 Carley Hoover(ビックカメラ高崎) 98
2位 Jailyn Ford(トヨタ) 66
3位 Madison Penta(日本精工) 64
4位 Georgina Corrick(日本精工) 59
5位 Kathryn Sandercock(SGH) 55
6位 Megan Faraimo(トヨタ) 54
7位 後藤希友(戸田中央) 49
8位 三輪さくら(SHIONOGI) 43
9位 山本すみれ(NEC) 45
9位 坂本実桜(日立) 45
〇 第1節投手総括
(上野由岐子が示した開幕の格 揺らぐ絶対エースと“投手2枚時代”の幕開け)
〇第2節投手総括
(勝山美桜ノーノー達成と“若手台頭”の現在地)
〇第3節投手総括
(300奪三振・500奪三振が示す支配力 戸田中央無敗を支える“奪三振投手”の価値)
〇第4節投手総括
(JDリーグは“完投時代”の終わりへ 勝敗を左右するリリーフ陣の重要性)
〇第5節投手総括
(“任される覚悟”がチームを強くする―日本人投手たちの存在感)
〇第6節投手総括
(勝利を呼び込む投球とは何か ―第6節で改めて浮かび上がった投手の役割)




